日本作物学会北陸支部会報
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水稲における穂肥施用法と登熟について
川本 七郎荻野 幸治
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1969 年 5 巻 p. 5-8

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抄録

1 穂肥の1回施用の場合は, 標肥では品種によりやや異なり, ホウネンワセのような穂数型は, 幼穂形成期より減数分裂期に施用する方が, 穂数の減少にもかかわらず, 1穂粒数および千粒重の増加・登熟の向上によって増収する。五百万石のような穂重型は, 減数分裂期施用が穂数・1穂粒数の減少によって収量がやや低下している。多肥では両品種とも, 減数分裂期施用が各構成要素の増加により増収が明瞭である。したがって標肥条件で草型による効果の違いがみられる。2 分施法は品種および肥料条件ともに, 1回施用と同様な傾向であるが, 1回施用より分施法がややまさり安定度が高まると思われる。3 珪カル施用は, 無効分けつの抑制によって有効茎歩合を高め, 1穂粒数の増大によって収量を多くする。4 以上の結果から現在の稲作栽培では多肥となり易いため, 穂肥は減数分裂期に重点施用することが望ましい。したがって早生品種は穂形成期間が短かいため, 出穂前13〜15日頃(頴花始原体分化後期から減数分裂初期で葉令指数92)が適期と思われる。

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© 1969 北陸作物・育種学会
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