抄録
光合成産物を利用貯蔵する場であるsinkと, 光合成産物を供給する場であるsourceとが, どのような関係にあるかを知るために, 開花後のコムギの穂を切除し, 止葉の光合成に対する影響を調べた. その結果, 穂切除区の拡散伝導度と光合成速度は穂切除後11日目まではやや低い傾向にあったが, 対照区との間に有意な差は無かった. その後の光合成速度は対照区より高く, 穂切除によって止葉の老化が遅れることがわかった. 本報告は, 穂切除が光合成に及ぼす影響を光化学系と炭酸固定系とに分けて, それぞれについてみかけの光利用効率とクロロフィル含量, みかけのCO_2固定効率とリブロース1,5-二リン酸カルボキシラーゼ(RuBisCO)含量から検討した結果である.