1995 年 2 巻 1 号 p. 1_16-1_25
コンピュータは記憶を助ける道具である一方, 人間の記憶負荷を驚くほど増加させてもいる. 「Forget-me-not」は, エピソード記憶に似た方法でデータを体制化し, 日常記憶の課題を支援するために開発中のコンピューティング・モデルである. 身につけることの可能なこのモデルは, 利用者とともに移動し, 利用者が遭遇する人や機器からの信号を記録することで利用者の出会ったエピソードを記憶する. 利用者は記憶の断片から「Forget-me-not」の検索機能を使って, 自分でも忘れかけている出来事を思い出すことができる. 本稿では開発中のモデルの仕様と実際の使用例について紹介する.