認知科学
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計算社会科学に関する文献紹介
鳥海 不二夫
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2021 年 28 巻 2 号 p. 308-313

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抄録

計算社会科学とは,ビッグデータをはじめとするコンピュータサイエンスの活用によって新しい視点から考えるデジタル時代の社会科学である.現在の我々はコンピュータの力を借りなければ生活できないほど情報化された社会の中で生きている.そこに残される人間が生み出す膨大な行動の記録だけではなく,社会現象の大規模なシミュレーションや,デジタル技術を活用した実験や調査など,情報化社会で生まれた様々なデジタル技術を駆使し,これまでにない解像度とスケールで定量的に社会を理解していこうとする学際領域である. 本稿は,計算社会科学分野の文献紹介を目的としているが,計算社会科学はその特性上あらゆる社会科学分野の研究と関連し,その範囲は膨大である.そのため,代表的な論文を紹介するというのは難しいが,ここでは計算社会科学ならではの研究として世界各国における「絵文字の利用」を分析した“Learning from the ubiquitous language: An empirical analysis of emoji usage of smartphone users.”と,2020 年世界中を巻き込んだ新型コロナの対策をどのように行うべきかをネットワークとシミュレーションの観点から提案する“Stay with your community: Bridges between clusters trigger expansion of COVID-19” を紹介する.

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© 2021 日本認知科学会
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