認知症ケア研究誌
Online ISSN : 2433-4995
ISSN-L : 2433-4995
地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメント(DASC-21)の 認知症初期集中支援チームにおける有用性
山口 智晴 堀口 布美子狩野 寛子上山 真美小山 晶子黒沢 一美戸谷 麻衣子高玉 真光山口 晴保
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2018 年 2 巻 p. 58-65

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抄録

【目的】認知症初期集中支援チームおけるDASC-21の特徴と有用性を明らかにする。【方法】認知症初期集中支援チームの対象者のうち、健常4名、MCI 11名、認知症87名および精神疾患9名の計111名(80.5±5.9歳)におけるDASC-21の群間差や認知症診断の感度・特異度、MMSE、HDS-Rとの関係、DASC-21下位項目における群毎の特徴などを検討した。【結果】年齢を統制したDASC-21とMMSEの偏相関係数はr=-0.70(p<0.001, n=64)で比較的強い有意な負の相関を示し、HDS-Rでも同偏相関係数はr=-0.62(p<0.001, n=67)と有意な負の相関を示した。またDASC-21合計点は健常とMCI、精神疾患の3群と比して認知症で有意に高く(p<0.001)、DASC-21は健常と認知症を有意に弁別し(AUC=0.974, p=0.001)、カットオフを30/31点とした場合の感度は92%、特異度は100%であった。健常とMCI、認知症、精神疾患の4群間においてDASC-21の7つの下位項目での差は、身体的ADL①と身体的ADL②を除く、記憶(F(3, 107)=8.30, p<0.001)、見当識(F(3, 107)=7.50, p<0.001)、問題解決(F(3, 107)=9.42, p<0.001)、家庭外IADL(F(3, 107)= 12.18, p<0.001)、家庭内IADL(F(3, 107)=11.09, p<0.001)の5つの下位項目で統計学的有意差を認めた(一元配置分散分析)。VD群が身体的ADLにおいて他群より高値な傾向を示し、DLB群ではIADLやADLの項目が低値な傾向、AD群では特に記憶とIADLが高値な傾向を認めたが、各群におけるDASC-21下位項目毎において統計学的有意差は認めなかった。【結論】DASC-21はMMSEやHDS-Rと相関し、正常と認知症の判別にも有用であった。DASC-21は認知症初期集中支援事業だけでなく、認知機能検査の実施が困難な地域実践の現場で特に有用であり、地域包括支援センターにおける支援者の評価や介護支援専門員によるケアマネジメントなどにも役立つ指標だと考える。

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