抄録
【背景】先天性サイトメガロウイルス(以下CMV)感染症は胎内ウイルス感染症である。抗ウイルス薬ガンシクロビル抵抗性の症候性先天性CMV感染症でCMV抗原血症が持続する難治例に対するホスカルネットの使用については,今までのところほとんど報告がない。【症例】症例は日齢59の男児。在胎32週2日,出生体重1225gのsymmetrical SFD児として出生した。血小板減少,直接ビリルビン増加,頭部CTの側脳室壁石灰化と軽度の側脳室拡大を認めた。出生時の臍帯血でCMV IgM陽性であり,CMVC7-HRP185/6.4万cellsとCMV抗原陽性で先天性CMV感染症と診断した。血小板輸血,高力価免疫グロブリンを併用し,日齢5よりガンシクロビルを12mg/kgを6週間投与した。ガンシクロビル治療中止後には137/3.3万cellsとCMV抗原血症が持続し,脈絡網膜炎も進行した。そのため,家族への説明同意を得たうえで,日齢59よりホスカルネットを180mg/kgで開始した。ホスカルネット治療開始後3週間でCMV抗原は陰性化したが,可逆性の腎機能低下に伴う高カルシウム血症(Ca16mg/dL)と高クレアチニン血症(1.2mg/dL)を合併した。【薬物動態】60mg/kg/回を1時間で持続投与1日3回投与し,13日目の日齢71にホスカルネットの薬物動態を検討した。トラフ値は306.03μmol/L,投与終了後1時間の値は516.52μmol/L,4時間の値は353.02μmol/Lで半減期は7時間であった。血清クレアチニン値は0.67mg/dLであった。【考案】ガンシクロビル抵抗性先天性CMV感染症に対するホスカルネットを使用して児の薬物動態の検討を行なった。クレアチニン値は副作用の検出と投与量の設定に役立つ可能性が示唆された。