抄録
生体リズムはヒトでも生直後より認められているが,はっきりしたものでは無く,発達とともに確立される。古くから臨床でも気づかれていた臨床症状や薬物動態の日周リズムの理解が,今世紀に入って根本的に変わってきた。それは,時を司る時計遺伝子clock genesが発見されたためである。わずか数個のこの時計遺伝子は,自律的にリズムを形成し,数千もの遺伝子を周期的に発現させる。最近では,時計遺伝子の異常が,睡眠異常のみでなくメタボリック症候群や発癌の発症との関連性が指摘されている。ライフスタイルの近年の劇的な変化にともなう生体リズムの乱れは,新しいタイプの病気の要因となりうることが明らかになりつつある。