1995 年 16 巻 1 号 p. 1-5
要 約 : 根管象牙質に対しCO2レーザーおよびNd : YAGレーザーを照射した場合の形態的変化を検索するために, 臨床的に抜歯の適応と診断された5本のヒト健全歯 (切歯および犬歯) を用いた.
5.0 WのCO2レーザー, または, 2.0 WのNd : YAGレーザーを1~4秒間, 被験歯に照射し, 走査型電子顕微鏡で観察した. その結果, どちらのレーザー照射も直径300~400 μmの円形の陥凹を生じることが明らかとなった.
CO2レーザーを照射した試料では, 陥凹の辺縁に, 幅約30 μmにわたり, ガラス状を呈する溶解面が観察された. 陥凹の内部では, 象牙細管やクラックが明瞭に観察された. Nd : YAGレーザーを照射した試料では, 円形の陥凹の内部は溶解融合していた. ガラス状を呈する面もCO2レーザーの場合より広く, その表層には, 数個の細孔の散在, また多数の細孔の集合が, ガラス状の部分に混在して観察された.