日本歯内療法学会雑誌
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総説
垂直歯根破折の早期診断
菅谷 勉
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2022 年 43 巻 2 号 p. 69-75

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抄録

抄 録:垂直歯根破折を早期に診断することはきわめて重要であるが,初期病変は診断の確定が難しい症例が多い.垂直歯根破折は歯冠部から生じて根尖側に伸展していく場合と,根尖部から発生して歯冠側に広がっていく場合があり,また近遠心面に破折線が生じた症例と頰舌側面に発生した症例とでは,それぞれデンタルエックス線写真の所見が大きく異なるので,その特徴を理解しておくことが大切である.プロービングデプスが限局的に深くなることは垂直歯根破折の大きな特徴であるが,セメント質剝離性破折や歯内-歯周病変,根尖性歯周炎,辺縁性歯周炎,咬合性外傷などとの鑑別が必要となる症例もある.診断にはデンタルエックス線写真だけでなくCBCTが有用な場合もあるが,離開していない破折線を発見することは難しく,垂直破折に特有の骨欠損を探すことになる.診断の確定には根管壁または歯根表面に破折線を確認することが必須であり,その際にマイクロスコープを使用することはたいへん効果的である.

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© 2022 一般社団法人 日本歯内療法学会
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