抄録
本研究では、保育所保育指針に示されている乳児保育における3つの視点のうち「ウ精神的発達に関する視点身近なものと関わり感性が育つ」のねらいの一つである「見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする」乳児の姿に着目し、その対象物としての「おもちゃ」が保育環境としてどのように選択され提示されているかについて実態を把握し検討することを目的とした。乳児保育担当者に質問紙調査を行ったところ、各年齢ごとのおもちゃ環境の特徴、おもちゃの入れ替えをしていない保育室が4割程度あること、手作りおもちゃのある保育室が9割程度あること、おもちゃの選定では保育所保育指針に示されている音質、形、色、大きさ、手触りよりも安全性や衛生面が優先される傾向がみられることなど、保育現場のおもちゃ環境の実態と保育者のおもちゃ環境に対する意識が明らかになった。