日本英学史研究会研究報告
Online ISSN : 1883-9274
ISSN-L : 1883-9274
「薩摩反乱記」とその著者A. H. Mouneey
井上 悌雄岩倉 具栄
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1966 年 1966 巻 46 号 p. 1-9

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抄録

西郷隆盛は28才までは九州の南端薩摩の下級武士として-小吏に過ぎなかった。それが徳川の封建的幕府から王政復古による明冶政府へのクーデターを経る激しくゆれ動く日本歴史の一つの過程の中で, 総理大臣兼陸軍元師近衛都督となつたのが四十六才であった。まもなく征韓論で岩倉, 大久保等と対立したのを機に郷里の薩摩に帰り。失業武士達の集団ともいうべき私学校の子弟蓬左率いて反乱左起し。賊軍の頭目として破れ, 城山の一再で悠然と自刀刎首しのが五十一才であった。この英雄の短かい劇的な生涯をその社会的背景の中で客観的に捉え。反乱の当時パークス公使の下で書記官であつた著者A. H. Mounseyが江戸から東京への中で浩躍した多くの人々から得た記録をもととして外人の書いた薩摩の反乱の珍らしい記録がこの「薩摩反乱記」である。またこの書は重野安澤博士によって日本の國史編纂の上に重大な影響左与えたのである。

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