日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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馬の走運動の運動学的分析
石井 喜八天野 勝弘桜岡 広
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1989 年 1989 巻 26 号 p. 1-9

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抄録

馬の走行中のフォームを四肢の着地順序, 接地・空輸時間, 4つの歩幅 (SL), 完歩幅, およびピッチから分析した.
7頭のサラブレッド種が走行するフォームを高速度カメラで撮影し, フィルムディジタイザーにより, 上記の測定値を算出した. 走速度は, 400m/minから900m/minまでの6速度であった.
結果は, 以下の通りであった.
1) 四肢の着地順序からみると, 速度ごとの左手前, 右手前の割合は, 396m/minで6:1, 527m/minでは5:2, 593m/minでは2:5, 712m/minでは5:2, 831/minでは2:5, 950m/minでは3:4であった.
2) 接地時間および空輸時間はともに, 同一速度では4本の肢の間に差はなかった. 一方, 走速度の増加にともない, 接地時間は有意に減少したが, 空輸時間は変化しなかった.
3) 4つの歩幅の中で, 後に着く後肢と先に着く前肢間の距離であるMid SLは, 走速度の増加にともない増加した. 同様に, 空輸期の歩幅であるAirbome SLも走速度の増加にともない増加した. これらのSLの増加は, 完歩幅を伸ばすことに貢献していた.
4) 完歩幅は, 最も速い速度で最も遅い速度の183.5%に達した. 一方, ピッチの増加は130.9%であった. したがって, 速度増加への貢献度は, 完歩幅の方がピッチより大きい.

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