日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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子馬における0.2%ケタミン微量持続点滴麻酔の臨床応用
日笠 喜朗高瀬 勝晤角田 知子小笠原 成郎
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1989 年 1989 巻 26 号 p. 31-38

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抄録

子馬の外科手術に対して0.2%ケタミン点滴麻酔法の臨床応用を試みた. 供試馬は生後1日齢から19週齢までの延べ9頭である. 麻酔法はアトロピン (1mg/100kg), キシラジン (1mg/kg) を静脈内投与した後, 0.2%ケタミン溶液を頸静脈より急速に滴下することにより麻酔導入を行い, 同液の持続点滴法にて麻酔を維持した. その結果, キシラジン前処置によりケタミンの麻酔導入は極めて円滑に行われ, 導入量は平均2.3mg/kgであった. 維持麻酔中, 鎮痛, 筋弛緩は良好であり, ケタミン注入量は平均12.1mg/kg/hであった. また, 点滴終了後は極めて良好な覚醒を示した. 体温, 心拍数および呼吸数は麻酔中著変なく, 心電図にも異常所見は認められなかった. 血液ガス所見では麻酔中, 軽度の呼吸性アシドーシスを示した. 血圧は, poor riskを示していた1例で, 麻酔導入直後に著しい下降が認められたが, 他の症例では麻酔中, 正常範囲内の変化を示した. その他, 特に問題となる副作用は認められなかった. 以上の所見から, ケタミン微量持続点滴麻酔法は, 子馬の各種外科手術に対し, 調節性に優れた安全な麻酔法として臨床応用できることが示された.

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