抄録
常習的にさく癖を示す3頭のウマの行動をビデオレコーダーを用いて記録し,さく癖の生起頻度について解析を行なった。さく癖の生起頻度は早朝,夕刻,深夜に増大する3峰性の日周変化を示した。この中で飼料給与時刻とさく癖の生起頻度との間に関連があることが認められた。すなわち,粗飼料給与時前後では,さく癖の生起頻度は低値だったのに対して,濃厚飼料給与時前後では,その頻度は明らかに高値を示した。このことから,飼料の物理的性質に起因する採食行動における欲求不満が,さく癖誘発の要因のひとつである可能性が示唆された。