日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: G11
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気候変動と森林の窒素循環~観測・実験・広域評価
森林生態系における土壌の窒素動態に冬季気候変動にともなう凍結融解サイクルの変化が及ぼす影響
*浦川 梨恵子柴田 英昭黒岩 恵稲垣 善之舘野 隆之輔菱 拓雄福澤 加里部平井 敬三戸田 浩人小柳 信宏中田 誠中西 麻美福島 慶太郎榎木 勉木庭 啓介諏訪 裕一
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抄録

温帯の森林生態系では、冬季気候変動によりもたらされる凍結融解サイクルの変化が土壌の窒素(N)動態に影響を与えることが予想される。本研究では日本各地10カ所の土壌を、北海道の多雪(非凍結環境)および少雪地帯(凍結融解環境)で野外培養することにより、凍結融解サイクルの有無によるN無機化、硝化速度の変化と、凍結融解サイクルに対する反応の大きさと土壌特性との関係を調査した。また、凍結融解サイクル経験の有無が生育期のN動態に与える影響を明らかにするため、春~夏季のN無機化、硝化速度も引き続き調査した。凍結融解環境下にあった土壌は、非凍結環境下の土壌に比べて冬季の無機化速度は大きく、硝化速度は小さかった。生育期では、凍結融解サイクルを経験した土壌は、非凍結の土壌に比べて硝化速度が上昇する傾向がみられた。以上の反応には土壌による差が見られ、総硝化速度、総硝酸消費速度およびアンモニウム態N現存量の高い土壌ほど、無機化速度および硝化速度の凍結融解環境と非凍結環境の差が大きかった。微生物活性や肥沃度の高い土壌では、気候変動にともなう凍結融解サイクル変化に対して敏感に反応することが示唆された。

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© 2013 日本森林学会
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