日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: P2-222
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樹木の成長と環境
沈水したMelaleuca cajuputiのシュートにおける水中での光合成と根への酸素供給
*田中 一生宇部 真広益守 眞也丹下 健
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抄録
雨季に深く冠水する熱帯泥炭湿地に分布するMelaleuca cajuputiは、植物体全体が完全に水没した沈水環境において生存するのみならず、器官を形成しバイオマスを増加させる。沈水環境で生育したM. cajuputiには通気組織が植物体全体に見られる。光合成により生じた酸素がこの通気組織を介して移動しているのかを確かめた。
沈水環境で栽培したM. cajuputi実生を材料として、自作した微小酸素電極を使って茎内部と根内部と根圏の酸素分圧を計測した。計測は数日間連続して行い、途中で水中の二酸化炭素濃度を上げ、光合成速度を高める処理を行った。
酸素分圧は、光を照射するとすべての計測部位で上昇し、照射をやめると0近くまで低下した。光照射中の酸素分圧は根圏<根内部<茎内部の順で高かった。M. cajuputiは水中で光合成を行い、産生された酸素が茎の通気組織を介して根に移動し、さらに根圏に漏出していることが明らかになった。水中の二酸化炭素濃度を高めると、茎内部の酸素分圧が高まる傾向が認められた。これは、二酸化炭素の取り込みが増え、光合成速度が高まったためであると考えられる。
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© 2013 日本森林学会
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