日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: P1-058
会議情報

遺伝・育種
スギカミキリに抵抗性を有するスギの特徴ー幼虫の穿孔状況及び傷害樹脂道の形成についてー
*加藤 一隆
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
スギカミキリは、スギ及びヒノキの衰弱木だけでなく健全木にも穿孔する重要な害虫として知られている。林木育種センターでは、スギカミキリ抵抗性育種事業を進め、野外から抵抗性の高い可能性のあるスギ個体を選抜し検定した結果、被害がほとんどみられないクローンを確定した。そこで、今回はこれら抵抗性クローン及び感受性クローンを利用して樹幹に孵化直後のスギカミキリ幼虫を人工接種し、接種後15,30,45,60日後に穿孔場所を観察することによって、幼虫の生死の判定、穿孔した距離、生存幼虫の生体重、穿孔の先端部の内樹皮厚、年輪数および傷害樹脂道が形成されているのかどうか調査するとともに、幼虫の穿孔開始前後に人為的に樹幹に傷害を与えたのちに新しく形成された傷害樹脂道の出現率も計算し、これらの結果について抵抗性クローンでは何らかの特徴があるのかどうか解析した。幼虫の人工接種の結果から、抵抗性クローンでは辺材部に穿孔した幼虫の樹皮部おける穿孔距離が短いこと、また人為的な傷害による傷害樹脂道の観察結果から、抵抗性クローンでは幼虫の穿孔開始前後に1年生及び2年生の内樹皮の年輪において傷害樹脂道が形成されにくい傾向がみられた。
著者関連情報
© 2014 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top