日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: P1-168
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森林生態系の放射能汚染の現状を考える
福島第一原発事故後における空間線量率の低い落葉広葉樹林の放射性セシウム動態(ii)2012年2月~10月の蓄積量の変化
*伊藤 愛加藤 徹鈴木 拓馬綿野 好則三浦 覚近藤 晃
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抄録

 2011年以降、放射性セシウム(以下Cs)に関する調査が進められているが、森林生態系内におけるCsの蓄積や動態については未解明のところが大きい。今回、Cs降下後に伸長した枝葉のCs蓄積量を推定することにより、樹木から地表への移動を評価したので報告する。調査地は第一報(2013年森林学会大会)と同じクヌギ・コナラの混交林である。Cs濃度の測定は2012年2月、6月、10月に同じ個体から試料を採取し、ゲルマニウム半導体分析器により行った。測定部位は、地上部では葉、2012年伸長枝、2011年伸長枝、樹皮及び辺材、地上部以外ではリター及び土壌3層(表層から5cmごと)である。地上部のCs蓄積量は、生産生態学的手法により算出した10月時点のバイオマス量にCs濃度を乗じて推定した。その結果、林分全体に占める地上部のCs蓄積量は13%であり、地上部全体に占める2012年に伸長した部位の蓄積量は15%であった。そのうち葉の蓄積量は13%であった。落葉直前の引き戻しは考えられるが、リターとして地表に移動していく部位である葉には、10月時点で地上部の1割以上のCsが蓄積されることが分かった。

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