【目的】土壌中のマツタケ菌糸のバイオマス量を、土壌コアに含まれるマツタケ由来のDNA量から推定することで、土壌中におけるマツタケの動態把握を行っている。今回は、日本有数のマツタケ発生地である岩手県・京都府で、マツタケ発生地における土壌中のマツタケ菌糸体を継時的に定量し、マツタケ菌糸バイオマス量の時間的変動を解析する。
【方法】6月~10月にマツタケ子実体が発生した地点付近での腐植層直下土壌を一定距離間隔でサンプリングし、土壌からDNAを抽出しマツタケ特異的定量プライマーを用い(1)、定量PCR法にて定量した。
【結果】京都府、岩手県の両土壌サンプルでマツタケ菌糸体が定量された。岩手の発生地では、9月上旬から10月にかけて菌糸体量が増加していく様子が観察され、京都の発生地では6月下旬から菌糸体量の増加が観察された。両地点における気温と降水量の傾向の違いによって、土壌中のマツタケ菌糸体の量に違いが生じていると推定された。
(1) 山口宗義「マツタケ菌の検出および定量プライマーセット、およびマツタケ菌の検出方法ならびにマツタケ菌の定量方法」特許第5227600号