日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: P2-108
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生態
モンゴル北部におけるカラマツ林の発達と放牧活動との関係
*武田 一夫有馬 遼子野堀 嘉裕Lopez Maximo L.石田 祐宣瀧 誠志郎
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抄録

シベリアカラマツ(Larix sibirica)の森林が点在するモンゴル北部・ダルハド盆地では,伝統的に放牧が行われ,近年若木を食べるヤギの増加にも関わらず,森林と草原の境界で若木の集団発生が観察される.この集団発生時の森林発達に及ぼす放牧の影響を調べるため,室内発芽試験と現地調査を実施した.前者は,現地の種子を使って日本国内で水分と温度管理下で行った.後者は,林縁部にある若木の孤立群落を対象に,毎木調査・年輪解析・種子調査・食害調査などを2005年~2011年に行った.これらの結果,集団発生は,年平均36.7×104個・ha-1の種子が散布され,気温11℃が7日間継続する6月中旬から7月上旬にリターや草本の中で月降水量が20mm以上あると,発芽率5%程度で起こる.生育密度が7×104本・ha-1以上あると,群落内側の若木は枝を食べられた草原側の若木が障壁の役割をして放牧圧から免れた.解放までの受難期間は,若木の樹高が1mに達する発芽後9年程度とみられる.一方,光量子の観測結果から,樹高が1mを超えた林床では,新たに発芽した稚樹は光不足のため成長できないことが判明した.このため,集団発生の期間は9~13年で終わり,樹高の揃った群落が形成される.

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© 2014 日本森林学会
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