日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: P2-110
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生態
マレーシアサラワク州の異なる土壌環境に生育する択伐残存林のバイオマス
*田中 憲蔵古谷 良二宮 生夫服部 大輔田中 壮太櫻井 克年Joseph Jawa Kendawang
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抄録

マレーシアサラワク州のサバルとバライリンギン森林保護区で地上部と地下部のバイオマスを測定した。植生は低地フタバガキ林で、1980年代に同程度の択伐を受けている。土壌は、サバルが砂質、バライリンギンは粘土質であった。各森林でプロットを作成し毎木調査を行った。地上部バイオマス(AGB)は同じ森林で得られたアロメトリー式(Kenzo et al. 2009 JFR)より計算した。地下部のバイオマス(BGB)は、粗大根はNiiyamaら(2010)に従って計算し、細根(直径 < 5 mm)は1m×1mの方形区の掘り取りで求めた。AGBはサバル (205 Mg/ha) がバライリンギン(242 Mg/ha)よりやや少なかったが、BGBはサバル(59.6 Mg/ha)がバライリンギン(44.6 Mg/ha)より大きかった。BGBがサバルで大きくなったのは、細根量が粘土質のバライリンギン(5.8 Mg/ha)より砂質土壌のサバル(26.8 Mg/ha)で5倍近く高かったことによる。サバルで細根量が多かったのは貧栄養な砂質土壌で効率よく養分を吸収するためと考えられた。以上より、AGBが同程度の森林でも、土性により、細根量が大きく異なる可能性が高く、正確な森林の炭素蓄積量の推定にはこれらの違いを考慮する必要があると考えられた。

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© 2014 日本森林学会
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