日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: T08-03
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森林生態系の放射能汚染の現状を考える
樹幹への137Csの取込みと蓄積
*岡田 直紀大橋 伸太田中 厚志中井 渉
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キーワード: セシウム137, 樹幹, 蓄積
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抄録

福島第一原発からおよそ20kmの距離にある,福島県双葉郡川内村のアカマツ,コナラ,スギに含まれる放射性セシウムの樹体内分布を調べた.各樹種からそれぞれ3個体を選び,地上部から4-5ヵ所の高さで円盤を採取し,樹皮と木部をさらに細かく分割して放射性セシウムを測定した.樹体各部の放射性セシウム濃度は,外樹皮 > 内樹皮 > 辺材 > 心材の順で高かった.木部の半径方向では,形成層を含む最外部が最も濃度が高く,辺材ではほぼ一定で,心材では内側に向かって低下していた.このことは,生きた細胞を含まない心材内において,辺材を経由して移動してきた放射性セシウムが内側に向かって拡散していることを示していると考えられた.従って,心材内の放射性セシウム濃度は今後も上昇していくものと予想される.外樹皮の放射性セシウム濃度は,アカマツでは地上高によらず放射性セシウム濃度に大きな違いがなかったが,コナラとスギでは上部ほど濃度が高かった.しかし,内樹皮では地上高によらず3樹種ともにほぼ一定であった.

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© 2014 日本森林学会
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