日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: T12-01
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木質バイオマス発電への燃料供給の展望と課題
木質バイオマス発電事業の動向と燃料集荷の課題
*久保山 裕史
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抄録

固定価格買取制度の下で、未利用バイオマスを用いた電力の買い取り価格は32円/kWhに設定され、発電事業の経済性は飛躍的に高められた。その結果、全国で40~60カ所におよぶ発電事業が進行・計画されつつある。それらの経済性についてシミュレーションしたところ、5000kW規模の施設におけるバイオマス買い取り価格は2万円/t-dryでも高いことは確認できたが、前提とされる設備利用率は、実際には達成されていないこと等から、買い取り価格にそれほど余裕はないものと考えられる。一方で、上記の事業計画がすべて実施に移された場合の未利用バイオマス需要は、燃料の60%が未利用バイオマスでまかなわれたという仮定の下でも700万m3前後に達し、これは、現状の用材生産量の40%前後にも相当する。なお、これらの需要の多くは、2015年内に顕在化する予定であることから、供給力と需要量とのミスマッチによるバイオマス価格の高騰が懸念される。これに対しては、バイオマスの低コスト供給システムの構築と国産材の競争力の拡大を通じた素材生産量の拡大が必要であると考える。

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© 2014 日本森林学会
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