抄録
今日まで挿し木の養成には様々な手法がこころみられてきている。本研究では、木炭を混合した挿し床を設定し、挿し木苗の成長への影響を調べた。供試材料は、ポプラ、イチョウの2樹種の挿し穂(20cm)を用い、カラマツ、ナラ、オガ粉(ナラ材のオガ粉を固めたもの)の3種の木炭をそれぞれ鹿沼土、黒土に混合した挿し床に挿し付けた。挿し付けは2013年5月上旬、掘り取りは同年10月下旬に行い、各挿し木苗の成長を観察し、根重と枝の伸長量などを比較した。挿し穂の活着率は、ポプラの鹿沼土の挿し床では、カラマツ炭90%、ナラ炭85%、オガ炭85%、対象区65%、黒土の挿し床では、カラマツ炭70%、ナラ炭10%、オガ炭5%、対象区30%であった。イチョウでは、鹿沼土の挿し床でナラ炭75%、オガ炭90%、対象区100%、黒土の挿し床では、ナラ炭35%、オガ炭45%、対象区5%との結果となった。pHは、鹿沼土、黒土ともに全体的にやや酸性に変化した。活着率において、炭の効果はある程度認められたものの、根重、枝数、枝の伸長など、挿し木苗の成長の比較では、明確な差異は認められなかった。