日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1A002
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林政部門
ミャンマー・バゴー山地カレン焼畑村落での「水田アグロフォレストリー」の普及とその背景
*竹田 晋也鈴木 玲治
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抄録

 ミャンマーのバゴー山地では英領時代よりカレン領域が設定され、ごく最近まで政府からの規制をほとんど受けない焼畑が営まれてきた。このカレン領域であるバゴー管区トングー県オクトウィン郡S村では、各世帯は毎年焼畑を開いて自給用陸稲に加えて換金用のゴマ、トウガラシ、ワタなどを栽培してきた。同村では2010年ごろから小規模ながらも谷地田造成による水田水稲作がはじまった。谷地田周囲の斜面にはバナナ、マンゴーなどの果樹とともにチーク(Tectona grandis)やピンカドー(Xylia xylocarpa)が植えられ、現地では「水田アグロフォレストリー」と呼ばれている。2012年に成立した農地法では、水田と常畑を対象に土地利用証明書の発行を通じた小農土地保有の合法化が想定されているが、焼畑はその対象外である。S村にも、最近の土地政策変化の情報が断片的に伝わりつつあり、各世帯は将来の土地所有権確保を期待して「水田アグロフォレストリー」をすすめている。19世紀末のカレン領域制定から焼畑耕作が続くS村では、自給用陸稲生産という基本的な性格は変わらないが、道路通信事情が改善され、学校教育が普及する中で、市場経済との接合が少しずつ進行している。

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