日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1A004
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林政部門
薪炭材と非木材林産物を採取する住民への熱帯林減少の影響分析:カンボジア・コンポントム州の事例
*江原 誠百村 帝彦野村 久子松浦 俊也Sokh HengLeng Chivin
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抄録

熱帯林は、多くの住民の生計維持に必要不可欠な薪炭材や非木材林産物(NTFPs)の供給源である一方、企業や住民による農地転換や伐採等で急減している。既往研究には、どのような住民が森林減少の影響を受けやすいのか、衛星画像解析と地上調査を組合せ複数の郡の村落を対象に解明した試みは少ない。そこで、カンボジア王国のコンポントム州南東部の3つの郡にまたがる6村落で、薪炭材とNTFPs採取への森林減少の影響の認識度合いが、村落の立地や周辺の開発条件、世帯の社会経済的条件の違いによってどう異なるかを明らかにすることを目的とした。結果、森林面積変化の度合い、薪炭材採取場所と周辺植生、世帯の生業パターン、そして開発タイプが重要な条件として挙げられた。特に薪炭材採取には森林面積変化の度合いと採取場所の組合せ、NTFPs採取には森林面積変化の度合いと生業パターンの組合せが重要な影響認識要因だった。この結果と住民の森林減少への対応能力の違いに着目した本分析手法は、州レベルの土地利用計画の策定、大規模開発への環境影響評価を実施する際に、地域住民への影響を評価する上で参考になる。

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© 2015 日本森林学会
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