日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1A012
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林政部門
集落単位での集約的林業の有効性に関する経済分析 ―福井県「コミュニティ林業事業」を事例に―
*金森 啓介
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抄録

 集約的林業は、施業規模の拡大による事業量の確保、林内インフラの効果的整備、高性能林業機械の積極的導入による森林施業の効率化を一つの目標とする。先行研究から集約的間伐、主伐の有効性については部分的に実証されているが、伐採後の再造林、保育林施業も含めた長期森林経営における有効性については不明確な部分が多い。本研究では、福井県での「コミュニティ林業事業」を例に、集約的林業の短期および長期収支を定量的に分析し、従来型の施業と比較することで集約的林業の独立採算性と課題を明らかにした。
 分析の結果、集約的林業の実施は、短期的にも長期的にも明らかに社会的に見て効率的であることが分かった。しかし、集約的林業であっても、現行価格下での木材収入で採算性を確保することは困難であり、ある程度の収益性を見込むためには保育林補助、間伐補助が必要となった。また、木材生産性が低い林分であればあるほど、再造林化よりも針広混交林化の方が経済的に有利となる傾向が見られることから、集約的林業であっても、針広混交林化は単に施業効率性の観点だけから見ても有効な選択肢である可能性が高いと考えられる。

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