日本の広域や奥地林での森林調査では人手不足を原因とした調査精度の低下や労力と費用を要するといった問題が生じている。近年では、調査の効率化を図れるとしてリモートセンシング技術の利用に期待が寄せられている。しかしながら、人工衛星や航空機から撮影された画像からは林内の情報を取得することができない。この課題を解消するものとして地上レーザ(TLS)が注目されている。TLSは地上に機械を設置することで、取得した膨大な点群データから個々の立木の詳細な情報化を行うことができる。本研究ではフィンランド式のTLS測量を日本で試み、日本の森林に適した方法を検討していくことを目的とした。調査地である上高地は中部山岳国立公園に含まれ、日本屈指の景勝地である。その上高地を流れる梓川のケショウヤナギ林で調査を行った。現地で設置したプロット(20m×20m)でTLS測定を行い、解析することで単木毎のデータと3Dモデルを取得できた。これらを現地調査から得られた毎木データと比較し、検証した。日本ではTLSの導入は広まっていないが、本研究をさらに進めていくことで森林管理においてTLSに大きな役割を与えられると考える。