日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B006
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造林部門
常緑低木の除去と落ち葉掻きが木本の実生更新に及ぼす影響
*高橋 あかり林田 光祐
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抄録

里山は近年の管理放棄による生物多様性の低下やナラ枯れ被害が問題になっており、新たな保全管理の方法が課題となっている。本研究では、林床の多様性回復のための常緑低木除去や落ち葉掻きが木本実生の更新に及ぼす影響を日本海側の多雪地帯である山形県寒河江市のコナラとアカマツが優占する二次林で検討した。225m2の調査区を9つ設定し、常緑低木除去と落ち葉掻きの両方を行う落葉掻き区、常緑低木除去のみを行う刈払い区、無処理区を3つずつ設け、林床処理を2011年とコナラの結実が豊作だった2012年の秋に行い、コナラ実生と処理後に発生したその他の樹種の実生を区別して2年間の追跡調査を行った。コナラ実生の生存率は1年目の52.5%に比べ2年目は76.6%と高かった。1年目の死亡要因は菌害が最も多かったが、2年目は動物害が大半を占めた。2年間の生存率を処理ごとに比較すると、刈払い区で最も高く、一番低かった落葉掻き区とは有意な差が認められた。また、実生出現種数は無処理区より処理区の方が有意に多く、林床処理が実生の多様化を促した。処理ごとに実生数を比較したところ、コシアブラとアカマツの実生数が落葉掻き区で有意に多かった。

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