日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B015
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造林部門
スギコンテナ苗は夏季植栽で本当に有利か?-植栽時の水ストレスから当年の活着・成長・物質分配までの比較-
*新保 優美平田 令子高木 正博伊藤 哲
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抄録

 コンテナ苗は培地と一体化した根系を持つことから、植栽時にストレスを受けにくいとされている。このような特徴を持つコンテナ苗は植栽時期を選ばず、夏季の植栽も含めた伐採-植栽一貫作業への適用が期待されている。本研究では、夏季植栽苗の植栽直後の水ストレス、植栽当年の成長および物質分配の解析により、コンテナ苗の優位性の検証を試みた。2014年9月に宮崎市、宮崎大学田野演習林の人工林伐採地に挿し木コンテナ苗(当年生および1年生)と裸苗(当年生)を植栽し、植栽直後の水ストレス(水ポテンシャル・ETR・葉温)を比較したところ、コンテナ苗の方が水ポテンシャルは高く、ストレスが小さいことが分かった。しかし裸苗の水ポテンシャルの低下も光合成活性や蒸散の抑制までには影響しておらず、致命的なストレスは受けていなかった。植栽4週間後には苗種間で差はみられなくなった。生育期終了時までの当年の成長は伸長成長・肥大成長、共に当年生コンテナ苗で最も大きく、1年生コンテナ苗および裸苗に勝っていた。講演では、冬季の生残率および物質分配特性の解析結果を加えて、夏季植栽した苗の初期成長特性を苗種間で総合的に比較した結果を報告する。

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© 2015 日本森林学会
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