日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B018
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生態部門
多雪地におけるブナ(Fagus crenata)の年輪幅に影響する気象要因
*名取 史晃石田 清
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抄録

 樹木の年輪には個体の成長に影響を与えた様々な環境要因の情報が記録されている。中でも、気象要因は成長量を大きく変動させることが分かっている。本研究では、青森県八甲田連峰のブナ二次林においてブナ林冠木のGBH(胸高周囲長)の大きさにより受ける気象要因の影響の程度や質が異なるか検証した。ブナ林冠木83個体から成長錐を用いてコアサンプルを採取し、その中からGBH昇順上位19個体をLグループ、同降順上位18個体をSグループとして区分した。解析には主に当年年輪幅とその翌年の成長量の平均値(2年移動平均)、当年・翌年・翌々年の成長量の平均値(3年移動平均)を用いた。気象要因は酸ケ湯アメダスの月平均気温、月降水量、月最大積雪深の各データを使用した。解析の結果、月平均気温と月最大積雪深においてSグループがLグループよりその影響の程度が低い月が存在することが明らかになった。また、2年移動平均と3年移動平均では月平均気温・月最大積雪深で有意となる月が一致しなかった。これらから、GBHの小さいブナ林冠木は気象要因から受ける影響が相対的に小さくなる傾向にあり、気温と積雪深とではその影響が続く年数が異なる可能性が示された。

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© 2015 日本森林学会
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