日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B040
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生態部門
湿原域における放棄牧草地と残存湿地の土壌シードバンクの比較
*柴田 昌俊森本 淳子志田 祐一郎中村 太士
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抄録

植生復元を目標とする放棄牧草地では、農地転換及び長期の農地利用により、湿生植物種の種子供給源が減少し、対策として土壌シードバンク(以下SB)が注目されている。①湿地植生復元におけるSB利用の有用性、②水分条件やサンプル採取深度の変更によるSBの効率的な利用方法、の二点を解明することを目的とした。北海道東部、標津川流域及び当幌川流域で、営農中及び耕作停止後6年、13年、15年、26年が経過した牧草地・残存湿地を対象とし、0~5㎝及び5~10㎝の土壌を採取した。湿潤条件と湛水条件下で播きだし実験を行った。実験の結果、牧草地のSBと残存湿地SBは種組成が大きく異なり、営農活動による影響が明らかになった。牧草地SBにおいて最も種数、密度が出現する組み合わせは休耕年数6年、0~5㎝深度のサンプルを湿潤状態で発芽させることであった。また、SB中に牧草種は確認されず、SBの活用により湿生植物種を導入し、湿地植生の復元を期待できることが示唆された。しかし、一部の希少種は異なる水分条件、深度のサンプルで発芽した。実際にSBを活用する際には異なる土壌を利用し、多様な水分条件を設定することが多くの湿生植物種の導入に重要である。

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© 2015 日本森林学会
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