REDDプラスに参加する発展途上国では過去の森林面積・蓄積の動態から将来のそれらの参照レベルを求めることが求められる。信頼できる過去の森林分布の統計がない場合には、これまでに蓄積された衛星画像が唯一の情報源である。湿潤な熱帯雨林地域では地表に雲がかかることが多く、また大気の状態も時と場所により異なり、(準)国レベルのように広い地域を均一に観測するのは困難であった。そこで、時系列の多くのLandsat画像の雲のない部分のトレンドから推定した年々の反射スペクトル画像を用い、1996~2010年の年々の土地被覆・森林被覆変化を解析した。対象地域はマレーシアのうち半島マレーシアである。各年の画像を森林、非森林、および水域に分類した。総合精度は73%であった。分類結果の目視確認では、これまでの画像分類では多く生じた非現実的な被覆の変化、例えば短期間のうちに森林から非森林そして再度森林に戻るなどの変化は見られなかった。州ごとの森林被覆率についてマレーシア政府統計と比較すると、森林の多い州ではその推移が政府統計と解析結果でほぼ同傾向を示した。