日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T24-06
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森林環境の持つ保健休養機能の基礎的研究と応用研究
森林浴が精神障害者にどのような影響を与えたか
*木村 龍太郎
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抄録

当院は、H26年度に森林療法の研修、近隣の里山視察を経て、森林浴をリハビリテーション(精神科作業療法)の一環として企画、運営している。今回、森林浴に参加したAさんの様子を報告する。尚、当院倫理委員会およびAさんの同意を得ている。Aさんは統合失調症、40代男性である。病棟では食事・入浴・トイレなど以外で病室から外へ出る事は少ない。自ら話す事はなく、他者から話しかけられれば無表情で単語レベルで返事を行う程度である。当病院入院患者を対象に森林浴を実施(病棟から徒歩5~10分に位置する病院敷地境界の竹林まで徒歩で移動し、ブルーシートを広げ休憩、その後竹林周辺を散策して病棟へ帰る)したところ、Aさんはシートを広げる時にスタッフを手伝い、休憩中はお茶を飲みながら他者の質問に答え、かつての運動会の時にシートを敷いて母親が作ったおにぎりを食べたなどと話した。結果は、Aさんの情動の平板化・情動鈍麻や意欲・発動性欠如(陰性症状尺度SANS参照)と対人技能の情報交換(ACIS参照)に改善が見られた。これらのことから、森林浴は入院中の精神障害者の情動や意欲などの陰性症状や対人技能に良い影響を与える可能性があると考えられた。

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