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第127回日本森林学会大会
セッションID: H6
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学術講演集原稿
高知県におけるヒノキの成長量と葉の特性との関係
*中西 麻美稲垣 善之深田 英久渡辺 直史
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抄録

樹木の成長は土壌中の窒素や水分などの資源量と資源利用効率に影響を受ける。葉の窒素濃度は窒素吸収量の指標として、葉の炭素安定同位体比(δ13C)は水分利用効率の指標として用いられている。これらの指標を用いて窒素利用と水分利用がヒノキの成長量に及ぼす影響を高知県内の林齢28~73年のヒノキ人工林30林分で評価した。葉の窒素濃度は7.8~12.3mg/g、δ13Cは-28.4~-26.2‰を示した。窒素濃度とδ13Cには有意な関係は認められず、窒素濃度が高く、光合成活性が高い条件でδ13Cが増加する傾向は認められなかった。樹高成長量は0.08~0.53m/年、材積成長量は1.4~11.0Mg/ha/年を示した。林齢と窒素濃度を説明変数として成長量を予測する重回帰モデルでは、林齢が若く、生葉窒素濃度が高い林分ほど樹高および材積成長量が大きい傾向を示した。これらの重回帰モデルで、樹高成長量では53%、材積成長量では30%を説明できた。δ13Cと樹高や材積成長量には有意な傾向は認められなかった。したがって、高知県におけるヒノキの成長には窒素資源が重要であり、水分資源の制限は小さいことが示唆された。

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