日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-112
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学術講演集原稿
一斜面地形上における気候的、土地的極相種2種の分布と更新
*嵜元 道徳松山 周平坂野上 なお
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抄録

尾根・谷斜面地形上における気候的極相種と土地的極相種の共存は古くから知られてきているが、更新維持の解明は十分でなく不明な点が多い。本研究では、尾根・谷斜面地形上における上記2極相種の更新過程を明らかにすることを目的に、京都盆地にある針広混交林の優占種となっているコジイとヒノキを対象に、サイズ、空間分布(40m×90m)、齢構造を調べた。その結果、5サイズ階に区分した構造は、コジイが最小サイズ階(0.3m≦H<1.3m)で最多となりサイズ増加にともない急減するL字型、ヒノキが最小サイズ階で最少となりサイズ増加にともない急増する逆L字型となっていた。一方、斜面地形上における分布は、ヒノキの多くのサイズ階が尾根から斜面中腹に広く分布していたのに対して、コジイは最大サイズ階(20㎝≦DBH)が谷部に限定されていたにも拘わらず、小サイズ階(DBH<5㎝)はいずれも谷部を除く斜面に広く分布していた。また、樹齢とサイズの間は両種ともに直線的関係となっていた。以上より、コジイは谷部の成木分布域を除く斜面上で連続的に更新し、ヒノキは尾根から斜面中腹の成木分布域で散発的・連続的に更新していることが推察された。

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