日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-219
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学術講演集原稿
流域スケールの環境情報を用いて沿岸域への落葉流出量を予測する
*長坂 晶子長坂 有
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抄録

森林は河川を通じて沿岸河口域に炭素を主体とした物質供給を行っている。落葉は森林の年間物質生産量の約半分を占め、渓流生態系の食物網の起点として重要な役割を果たしているが、一部は沿岸域にまで運搬され、河口域の底生生物に利用されることがわかっている。さらには、沿岸域を保育場として利用する稚仔魚にまでつながる物質フローも確認されており、落葉による魚付き林機能の具体的事例といえる。一方で、落葉流出量を実測した例はほとんどなく、流域面積や地形、森林率など、流域ごとに異なる環境条件が沿岸域への落葉流出量にどう影響するかについての知見もほとんどない。本研究では、流域環境の異なる多地点での落葉流出量の実測を行い、流出量の多寡を説明できる要因の抽出を試みた。北海道中央部の日本海および日高沿岸の河川流域から合計36河川を調査地として選んだ。落葉流出には明瞭な季節変化があり、10~11月の落葉期に年間総量の80%が流出するため、この時期に焦点を当て現地観測を行った。負荷量(濃度と流量の積)は流域面積との相関が高く、森林率の寄与も弱いながらも抽出された。

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