今日、ヒサカキ(Eurya japonica Thunb)は使用用途が少なく、自生しているものは邪魔者扱いされていることがある。しかし、仮にヒサカキにアレロパシー物質があった場合、その物質を用いて除草剤や育苗剤などの特用林産物を生産することが出来るようになるため、ヒサカキの利用方法が増加するのではないかと考えている。そこで本研究では、ヒサカキにあるとされるアレロパシー物質の有無の検証、またどのような形で周囲の下層植物に影響を与えるのかを調査をした。試料の採取地は東京都青梅市に位置する青梅の森を選定した。また、アレロパシー物質が揮発性・溶脱性のものかをそれぞれディッシュパック法・抽出法を用いて調査し、実験で出たデータを数値化・グラフ化した。その結果、ヒサカキには揮発性・溶脱性のアレロパシー物質がある可能性が強くなった。また、強さとしては水溶性、脂溶性またはその他、揮発性の順となった。ヒサカキは常緑小高木であり、この特徴から雨や霧などの水滴によって周囲の植生にアレロパシー物質の影響を与えるのを主なものとしているのではないかと考察した。