日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-144
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学術講演集原稿
複数菌根菌接種がクロマツ実生の成長に及ぼす影響
*家塚 祐太上原 巌田中 恵
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抄録

複数種の菌根菌を接種した実生は、菌根形成能の速さや成長促進効果の違いなどで、単独接種の実生苗よりも成長が良好であるという研究例がある。そこで、本研究では複数種の菌根菌を接種した際の相乗効果に着目した。3ヶ月生のクロマツ(Pinus thunbergii)実生にRhizopogon roseolus(2菌株、以下Rr1、Rr2)、Pisolithus sp.(以下Pt)、Cenococcum geophilum(以下Cg)の3菌種を1/2MMN培地で培養した菌叢を培地ごと単独、または複数種同時に接種し、6ヶ月育成した。その結果、菌根形成率はPtが高く、Ptと同時接種しなかった処理区ではRr1、Rr2の菌根形成率が高かった。Cgの菌根はどの処理区でもほとんど形成されなかった。一方、バイオマス量はRr2単独接種区が最も高く、菌根形成が良好であったPt単独処理区では低かった。これらの結果から、同時・同接種源量の複数種接種では、菌根形成率が高く成長促進効果が低い菌根菌が先に感染する事により、成長促進効果の高い菌根菌の感染を妨げてしまう可能性があると考えられる。

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