日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-198
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学術講演集原稿
マイクロサテライトマーカーを用いた立田山ヤエクチナシの遺伝解析
*金谷 整一上野 真義江野 優里子下村 荘乃西田 奈央福島 裕基田嶋 隆文瀬上 眞由美宮崎 寛河原畑 濃松永 順松永 道雄
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抄録

1920~1929年に熊本市の立田山で9個体の八重咲きのクチナシ「ヤエクチナシ」が発見された。この自生地の一部は、1929年に国指定天然記念物「立田山ヤエクチナシ自生地」とされ、森林総合研究所九州支所の立田山実験林に含まれている。戦後、ヤエクチナシは伐採や盗掘等で絶滅したと考えられていた。1969年には1個体が再発見されたが、数年後に消失した。現在、発見者あるいは発見場所にちなんだ「浅井系」、「西岡系」および「拝聖院系」が自生地外で保全されているとともに、ヤエクチナシの再々発見を目指して、開花調査が継続して行われている。保全されているヤエクチナシの遺伝情報の収集と整理は,今後の遺伝資源保全の観点から重要かつ不可欠であるとともに,自生地に残っているかもしれない個体の探索に有効であると考えられる。そこで,クチナシで開発されたマイクロサテライトマーカー16座を用いて、自生地外で保全されているヤエクチナシを対象に遺伝解析を実施した結果、5つ以上の遺伝子型に分かれた。これらの情報を基に、自生地内に分布するクチナシについても遺伝解析を進め、ヤエクチナシが生残しているかどうか検証する。

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