日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-265
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学術講演集原稿
福島県内の隣接した植生が異なる3林分における土壌中放射性Csの挙動
*林 愛佳音竹中 千里富岡 利恵金指 努
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キーワード: 放射性Cs, 森林, 土壌
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抄録

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により、放射性核種が大量に放出された。放出された放射性Csの多くは森林に沈着し、その一部は土壌に不均一に存在している。今後、森林の除染や森林利用を計画する上で、放射性Csの挙動に関する知見を得ることは重要である。そこで本研究では、放射性Csの樹木根による吸収や根における転流、また根が枯死、分解される際の土壌への再拡散といった挙動の可能性に焦点をあて、放射性Csの挙動に対する植生の影響を明らかにすることを目的とした。福島県川俣町山木屋地区世戸八山の隣接したスギ林、アカマツ林、広葉樹林の3林分においてスギ、アカマツ、コナラを3本ずつ伐採し、それぞれから根を深さごとに採取し、放射性Csの測定を行った。これらの研究対象地は植生以外の環境条件がほぼ同じと考えられる。3樹種すべての根において放射性Csが検出され、根からの吸収が確認された。またスギ、アカマツと比較して、コナラの根においてより深くまで放射性Csが移動していることが明らかとなった。このような樹種による放射性Csの挙動の違いが、土壌中放射性Csの分布の不均一性に寄与することが示唆された。

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