福島第一原子力発電所事故による放射能汚染は、東日本の広範囲にわたって農山村地域における日常的な森林利用に影響を与えたと考えられ、その実態把握と将来展望が求められる。そこで、事故原発から12~30km圏の阿武隈山地に位置する双葉郡川内村と、130~150km離れた南会津郡只見町明和地区(それぞれ全8行政区)において、山菜・きのこ採りや渓流釣りなどの活動が事故前後(2000年代後半と2015年)でいかに変化したかを定量化するアンケート票を作成した。そして、両地区で予備調査を実施後、事故前から居住する各世帯で山に最も関心のある方一名ずつを対象に全戸配布・回収した。質問項目は、採取活動の月毎頻度、採取していた理由・やめた理由、使途(自家消費・贈答・販売)、贈答先数、山菜・きのこ栽培、落ち葉・刈り草堆肥利用における事故前後の変化などである。その結果、川内村で6割弱、只見町では9割弱の回収率を得られ、変化の程度は川内村で顕著であるが、両地域ともに原発事故後に各採取活動や贈答関係が大幅に低下した実態が明らかになった。