主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
土壌において粒子状有機物に含まれる窒素は微生物が利用しやすく,鉱物−有機物複合体(MAOM)に含まれる窒素は利用しにくいとされる。本研究ではヒノキ人工林内の同一斜面に沿った窒素無機化特性の違いと土壌中の高分子有機態窒素の存在形態の関係を明らかにすることを目的とした。調査地は岡山県津山市のヒノキ人工林であり,斜距離約90mの斜面を対象に25か所で鉱質土層表層を採取した。純窒素無機化特性,総窒素無機化特性および粒径分画による有機態窒素存在形態の評価(53µm未満をMAOM,53µm以上を粒子状有機物・砂粒子)などを行った。純窒素無機化速度,純硝化速度および総硝化速度は斜面の上部で値が低く,MAOM窒素量(g-N/kg soil)および単位シルト・粘土重量あたりのMAOM窒素量(g-N/kg silt+clay)も斜面の上部で低かった。また,添加したアンモニア態窒素は単位シルト・粘土重量あたりのMAOM窒素量が高いとMAOMへの取り込み割合が低下した。これらから,斜面に沿った窒素無機化特性の違いにMAOMへの非生物的な窒素取り込みの違いも影響していることが示唆された。