日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: T9-6
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学術講演集原稿
長野県伊那市のカラマツ林における地衣類の分布
*上原 巌
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抄録

地域の森林環境を保養地として活用,利用することが全国で企画されている。しかしながら,その環境指標については明確な基準や評価がまだ未整備であり、特に保養地の空気の清浄度などについての基準は欧米などと比較した場合、ほとんど省みられていない。硫黄酸化物(SOx)のなどに弱いとされる地衣類は,公害の環境指標として用いられることがある。そこで本研究では,地衣類の種類、出現度,被度からその大気の清浄度を考察する試みを長野県伊那市の山林にて行った。調査は、伊那市高遠地区の標高約1200mのカラマツ林において、地際から1~2mまでの高さの樹幹表面,東西南北の4方向から地衣類の付着の有無、種類、被度を調べた。被度は、目視により,①10%未満②10~25%③25~50%④50~75%⑤75%以上の5段階とした。また,同時に,測定値の樹種,樹高,胸高直径も測定した。調査の結果,樹種,樹皮による差異(着生の困難さの差異)や間伐などの施業状況もまた、影響を与えていると考えられた。胸高直径,樹高による差異は、本調査では認められなかった。冬期の積雪条件なども影響を及ぼしていることが推察された。

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