日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: C4
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学術講演集原稿
長崎県対馬市の地域固有の生物に着目した教育と森林・林業
*杉浦 克明關 正貴園原 和夏
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抄録

長崎県の対馬市は朝鮮半島に近く,大陸系と日本列島系の生物が生息する独特の生態系を有しており,固有種が存在している。そこで,本研究の目的は,長崎県対馬市を対象に,地域固有の生物に関する教育の中で,森林・林業に関連した内容がどのようにどの程度扱われているのかを明らかにすることである。方法は2022年11月に環境省対馬野生生物保護センター,対馬市役所,長崎県の事業の一環として普及・啓発活動をしている関係者に聞き取り調査を行った。その結果,絶滅危惧ⅠA類(環境省レッドリスト)であるツシマヤマネコとツシマウラボシシジミの保全に関連した活動が中心的に行われていた。ヤマネコに関しては,森林内の下層植生の重要性や,ヤマネコの食資源となるネズミの生息環境にとってシイ等のドングリが重要となること等が説明の中心となっていた。ウラボシシジミに関しては,話題の中心は食草であるヌスビトハギ等へのシカの食害であった。時間の制約もあり,森林・林業の話題までには至っていないことが明らかとなった。森林・林業と固有種との関係を話題にする場合,森林・林業を話題の中心とした教育の中で固有種との関係性を言及しやすいのかもしれいない。

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