日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-153
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学術講演集原稿
89年生ヒノキ林縁個体の枝の心材分布
*伊藤 太陽安部 有佳子城田 徹央岡野 哲郎
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キーワード: ヒノキ, 心材分布, 林縁個体
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抄録

 太い幹や枝の内部では,古くなった辺材が貯蔵物質を失い通水機能を持たない心材へと移行する。一般に,幹では樹冠内部で心材が形成され始める。そして基部に向けて心材半径が幹半径と同じように増え続け,その結果,辺材幅が一定に保たれる。このときの辺材幅は樹種や環境条件によって変動する。一方で,枝における心材,辺材の分布の知見は極めて少ない。本研究では89年生ヒノキ林縁個体の大枝(長さ3m~7m)を対象に,枝内の心材分布が幹のそれと同じパターンを示すという仮説を検証した。

 解析の結果,枝における心材の形成は,幹と同様に,葉群内部で始まっていた。心材が形成されるときの木部直径は約3.2cmであり,おおむね安定していた。一方で,最も根元にある2次枝までは辺材幅が増加する,あるいは増加して一定になる傾向があった。ところが,それよりも根元側では心材半径が急速に増加し,辺材幅が減少するパターンが見られた。このことから,幹と枝における心材分布は異なり,あて材の形成や枝の向きなど枝に特徴的な形質が心材形成に影響を及ぼしている可能性が示唆された。

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