日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: P-175
会議情報

学術講演集原稿
希少樹種オガサワラグワの弟島自生地の実生のSSRマーカーによる親子解析
*玉城 聡磯田 圭哉木村 恵井鷺 裕司比留間 美帆塩沢 空也熊本 舞子井上 正隆田谷 以生藤澤 実樹右田 裕基
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 小笠原諸島に固有分布するオガサワラグワは個体数が減少し続けており、絶滅の危険性が高まっている。移入種のシマグワとの交雑も大きな問題となっており、純粋なオガサワラグワの天然更新が期待できる自生地は、シマグワの侵入防除に成功している弟島の集団に限られている状況にある。当自生地では、繁殖への関与が期待できる大きさの成木は27個体のみであり、他の集団からの花粉を介した遺伝子流動も期待できないことから、自生地内で遺伝的に健全な交配と更新が行われているか検証することが必要である。そこで、自生地内での交配実態の解明を目的とし、自生地内に確認された成木27個体および実生439個体を対象とし、マイクロサテライトマーカー7座(谷ら2005)を用いて遺伝子型を決定した。最尤法による親子解析を行うソフトウエアであるColony(Wang 2004)を用いて、成木と実生との親子関係や、実生同士の血縁関係を推定した。さらに、血縁関係のある個体同士での交配の影響を評価するため、空間的な遺伝構造について解析した。これらの解析結果を報告するとともに、今後の保全戦略に向けた提案を行う。

著者関連情報
© 2023 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top