日本森林学会大会発表データベース
第134回日本森林学会大会
セッションID: S6-3
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学術講演集原稿
国有林史料を活用した山地森林環境の史的分析
*芳賀 和樹
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キーワード: 近代日本, 秋田地方, 施業案
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抄録

 本研究では、旧営林局に残された史料群(国有林史料)の分析により、近代日本における官林(国有林)の資源状況や利用の特徴について考察する。対象は史料の残存状況等に鑑み秋田県域とする。主な使用史料は東北森林管理局所蔵の施業案関係史料である。1890年、秋田大林区署は官林の仮施業案を編成した。実務は各小林区署が担当し、面積・樹種・林齢・本数・材積・毎年伐採高等が把握・計画された。阿仁銅山(のち阿仁合)・長木沢両小林区を例にとり樹種別本数の割合(上位2位、樹種表記は史料通り)をみると、前者は雑(91.4%)、檜(4.5%)、後者は杉(58.1%)、雑(41.7%)となり相違が認められた。99年の国有林野特別経営事業開始により、秋田大林区署管内の国有林についても施業案・同説明書が作成された。説明書には地況・林況、木材需給と他産業との関係、施業方針等が記載された。阿仁合小林区小又(09年)・大又両事業区(10年)の説明書を例にとり蓄積をみると、前者は約499万尺〆で82.9%を雑木が占め、後者は約422万尺〆で97.6%を雑木が占めた。両区とも利用は阿仁鉱業所への払下げが主で、08年の払下げ量は両区合計でスギ約11万尺〆、雑木約19万棚であった。

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