1963 年 12 巻 p. 74-77
土壌に混合したエゾマツ,トドマツ樹皮が廿日大根の生育に及ぼす影響を,樹皮混合率,窒素施用量について試験した。1 樹皮の混合により,発芽の遅延が見られた。樹皮の混合により,粗孔隙が増し,土壌表面が乾燥しやすくなつたためと推定した。2 樹皮の混合により,種子の発芽,幼植物の生育はかなり抑制され,樹皮中に生育阻害物質の存在を推定した。しかし,適当量の窒素分を与えた処理では,本葉発現後すみやかに正常な生育を回復した。3 乾燥樹皮当0.3%以上の補充窒素が与えられた場合,樹皮混合率20%,40%の処理で対照区を有意に上回る収量を上げ,樹皮の混合が土壌物理性の改良に有効な処理であると認めた。又,ミズナラ,シナノキ樹皮にくらべエゾマツ,トドマツ樹皮の補充窒素量はほぼ1/3ですむことがわかつた。