抄録
(1)トドマツでは当年葉のN, K_2O濃度と樹高および当年伸長量の間で正の相関関係の傾向が認められたが,P_2O_5濃度と生長の関係はみられなかった。エゾマツでは当年葉のN濃度と樹高および当年伸長量の間で正の相関関係が認められたが,K_2O, P_2O_5濃度と生長の関係はみられなかった。アカエゾマツではいずれの養分濃度も生長との間に関係がみられなかった。(2)当年葉の養分濃度を樹種別にみると,Nはトドマツ,エゾマツ>アカエゾマツP_2O_5はエゾマツ>トドマツ>アカエゾマツK_2Oは,トドマツ,エゾマツ>アカエゾマツ>の傾向がみられる。(3)以上の結果を既往の養分吸収に関する試験結果と比較検討し,これら3樹種の中ではトドマツは養分要求度が高く,アカエゾマツは養分要求度が低く,エゾマツはその中間に位するものと考察した。